日本企業がシリコンバレーに進出する難しさ、赤裸裸に語ってもらいました

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シリコンバレーのインキュベーションセンターの代表格であるPlug and Playにお邪魔してきました!

plug and Playはスタートアップの起業支援や大企業のサテライトオフィススペースの提供を行っており、180以上のインベスターと300社以上のスタートアップのネットワークを持っている、大きなインキュベーションセンターです。

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エントランスにはパートナー企業のロゴがずらり。

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あれ、日本がない…?

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オフィススペースはこのように、パートナーのパビリオンごとに区切られています。

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日本の自治体ではなんと福岡のパビリオンを発見!こういう広報視点、大事だと思いました。

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今回の目的は、ここで医療画像処理系の日系企業の子会社を立ち上げ、社長をしているA・Aさんにお話を伺うことでした。大手企業でエンジニアで活躍した後にMBAを取得し、転職後に経営陣まで経験した後にアメリカの子会社を一から立ち上げ。今はカナダにある開発チームも見ているとのことで、日本・アメリカ・カナダのエンジニアの違い、これから必要になってくることなど、熱く語っていただきました。

 – いつからシリコンバレーに住んでいるんですか?

完全に住むようになったのは1年3ヶ月前。それまでの1年間は会社設立の準備期間で毎月往復していました。

現職前はIBMに努めていて、転職時にMBAの取得をサポートをしてくれること、アメリカの事業の責任者をやらせてもらうことを条件にしていたので、やっとやりたいことができ始めたというのが正直なところです。

 – 会社は順調ですか?

1期目はおかげさまで黒字でした。以前、カナダの会社を買収して失敗したことがあって、シリコンバレーではスモールスタートにしようと決めていました。アメリカは黒字かどうかではなく、成長率の方が大事だから対外的には評価は高いとは言えないのですが、今期も黒字の予定です。倍倍になるくらいに仕込んでいるので日本の基準では順調です。

 – もともとエンジニアですよね?経営に興味を持ったきっかけは何でしたか?

はい、もともとエンジニアでPh.D.は宇宙物理学を専攻していました。

自分で望遠鏡も作っていたので、ハード・ソフト・自作で溶接をしたりなど、1サイクルを一通り研究室でやっていました。研究者になってもそのサイクルがだんだん大きくなるだけだから、ビジネスの領域でもやってみたら面白いのではないかと思ったんです。

それまで研究一筋だったので、そもそもどんな会社があるのかも知らず、知っている会社名のところを受けたらIBMに受かった、という適当な理由なんです(笑)。

いくつか受けたのですが、そもそも外資系しか受からなかったんですよ。日本企業だと「宇宙物理学」のドクターをどう使っていいのかわからなかったんじゃないかと思います。

そこから転職して今の会社でコンサル系の仕事をやりました。自分で何でもできるポジションに行きたかったんです。日本で働きながらMBAをとりたくて、金曜日から日曜日まではMBAを取るための勉強、月曜から木曜までは通常業務と、その条件を飲んでくれる会社を探しました。最初は部長職で入社し、そこから経営層に加わり、今に至ります。

 – なぜシリコンバレーに子会社を立ち上げたんですか?

BtoBで受注がメインになるので、地理的条件がとても大事になります。何かあったときにすぐに行けないとダメ。お客さんがどこにいるか、で場所を選んだだけなんです。シリコンバレーに来たかったのではなく、お客さんがここにいた。BtoBのビジネスはお客さんの近くにいないと上手くいかないです。

今はカナダに開発チームを置いて、シリコンバレーは営業とマーケ系のチームにしようと思っています。自分が(開発と営業の)どちらもやるので…。

 – 開発チームはカナダなんですね。なぜアメリカ国内じゃないのですか?

いくつか理由があって、開発チームはカナダのビクトリア島というところにあるのですが、まずお客さんが米国企業である以上英語が流暢でなければいけないこと。ビクトリアはもちろん英語だし、シアトルからすぐなのでアメリカにも近いし、人件費もアメリカほど高くない。あとは、開発チームのリーダーが以前買収した会社のリーダーで、彼を信用しているという理由もあります。

 – カナダでのエンジニアの採用もやってるんですか?

基本的にはリーダーに任せています。最終的にはスカイプで面接をするが、技術的にはリーダーが見てくれています。なかなかいい人はいないけど。。

 – どんな人を採用しようとしてるんですか?

今必要なのは戦略を立てられる人材です。MBAを持っていてもそれだけじゃだめで、プラスアルファが必要。

こちらでは「ギークスーツ」という人が結構いる。「ギークスーツ」って知ってますか?日本だとほとんどいないんですが、ギークでありながらもビジネスのこともわかる、という人材です。技術系のひとだってMBA取ればいいと思うし、文系の人がプログラミングもやればいいと思う。日本だと文系、理系がはっきり分かれているのが由々しき問題だと思う。

ソフトウェアもわかってビジネスもわかる人が少なすぎる。プログラミングを極める道もあるが、ビジネスのことがわかると道は開けるとこっちに来てより感じますね。

 – Aさんはなぜ職人系にならなかったんですか?

お金が好きなんです(笑)というのは冗談だけど、IBMにいるころから自分で起業するかそれに近いポジションをしたかった。今はそれなりの会社で、経営に携わることができているから、かなり希望に近いポジションにいますね。

 – シリコンバレーに来て一番苦労したことは何ですか?

営業です。どういうことかというと、まずアポが取れない。こっちはコネ文化なので、ちゃんとしたリファレンスがないと会ってくれないんです。紹介もレベルがあって、なんとか繋がりを見つけても信用できる人の紹介じゃないと会ってくれない。商談の場につくまでがとても大変なんです。。

 – 最初どうやって繋げていったんですか?もともと何か繋がりがあったんですか?

最初の頃は、IBMの時の繋がりで広げていきました。あとは今入っているコワーキングスペースのplug and Play、彼らが紹介してくれるサービスがあるんです。ディールがまとまるとPlug and Playに5%くらいだったかな?払うんですが、もしまとまらなかったら無料なので、便利に使わせてもらってます。Plug and Playはアドバイザリーという仕組みもあって、希望すればプレゼンのレクチャーもしてくれるんです。

 – アメリカの社会に溶け込むことは大変でしたか?

英語が喋れれば溶け込むこと自体は大丈夫。でもお客さんはなんだかんだ言って日系の企業が多いです。それはやはり人種の壁がありますね。

どういうことかと言うと、こちらの企業でも中国や韓国、インド系の人でエグゼクティブクラスの人って結構いるんです。でも日本人でそこまで行っている人はほとんどいません。エグゼクティブクラスになると予算を持っているので話が早い。そこで同じ人種だともっと話は早くなるんですよね。日本にいるとわからないけど、真理だと思います。

 – なんで日本人にエグゼクティブクラスがいないと思いますか?

何だかんだ、日本企業が強かったからじゃないでしょうか。現地企業で成り上がる必要がない。中国や韓国の人は片道切符で来て、絶対成功するんだと思っています。日本人はこっちで成り上がろうとする人が少ないですね。ビジネス系でこっちで頑張る人がもっと出てきて欲しいです。

 – こっちに来て良かったと思いますか?

もちろんです!人生が良くなりました。気候はいいし。もともといつかアメリカで仕事をしたいということがあったので、次の目標はアメリカでサバイブすることです。

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A・Aさんは仕事以外にも、趣味の写真でプロ級の賞を受賞されたこともあるそうで、とてもアグレッシブに様々なことにチャレンジされていて、話を伺っていても刺激を受けました。BtoBの事業のため一般的に知られるようになる企業ではないですが、こういった成功事例が日本でも知られていくと良いなと思います。